「ピラニア」

「ピラニア」

いいか。水中で奴らに見つかっても決して慌てるな。
例え目が合っても、奴らは思いのほか慎重だ。こちらを伺っているうちはまだ大丈夫だ。
できるだけ音を立てず、ゆっくりと距離をとれ。
単独なら見た目ほど好戦的じゃない。そのまま岸へ逃げられるさ。

「ピラニア」
「ピラニア」2020/05/13~06/14 – 36h

…は?戦って勝つ方法はないのかって?

大砲でも準備して陸から打ち込もうってのかよ。違うんだろ?水の中じゃ無理だ!

血を一滴でも流してみろ、
次の瞬間には同じ色に変わった奴らの目で、あたり一面が埋め尽くされちまう。

そうなったら…もう、終わりだ…。

―音無しの水辺―片足を失ったら渡守

作品概要

テーマ

不意の遭遇

モチーフ

ピラニアの人魚

コンセプト

予期せぬ出会いで思考は動きを止める。その時身体を動かしているのは本能の囁き。

挑戦課題

  1. 魚のウロコと気泡の描画
  2. 明るい画面にする

制作動画

※制作動画については現在準備中です。

今回の反省点

「祭壇」でドラゴンのウロコについて検討しました。
その際に同じ大きさを並べると模様っぽく、これはどちらかというと魚のウロコかなという感触がありました。

以前にも魚のウロコは描いたことがあったのですが、中景くらいだったのでもう少しアップで目立つウロコを描き、情報を整理してみたいと思います。

魚のウロコについて

ドラゴンのウロコを描くときは余り均一にならないように気をつけました。
均一でパターンがあると模様になりドラゴンらしさは損なわれます。

逆に魚のウロコは模様っぽく、立体感があると剥がれ落ちそうな予感が起こります
同じウロコでも考え方はどちらかといえば逆になりそうですね。


ウロコを描くときに1番難しいのが面の混乱です。

ウロコを検討しているときはアップで描いているので、全体が見通しづらく気がつけば身体の面とウロコの面がずれていることがあります。

今回は補助線を引くことで混乱を避けようと試みました。
そこで気づいたことをまとめたいと思います。

補助線は面が切り替わるところに引く

補助線はキャラクターの太ももの側面に沿うものと、そこから直角に交わるように身体の凹凸に沿う線を試してみました。

最後まで描いてみた感触からすると、身体の側面に沿う補助線だけで良さそうです。

ウロコの大きさが適度かはある程度並べてみないと、現状判断がつきにくいと思います。
このときウロコを横に並べていくと、かなりの面積を並べるまで判断が付きませんでした。

身体の側面の補助線に沿って並べてみると、より少ない面積で大きさが適度かどうか判断できました。どうやら長く並べたほうが変化の違和感に気づきやすいようです。


結果的に補助線は側面だけで良かったのですが、振り返ってみるとこれは立体の描き方からの影響もあると思います。

今作のように立体を強く描くのであれば、面の変化もわかりやすいので補助線は少なすみます。逆に、立体を淡く描いている場合はもう何本か補助前を描いてもいいと思います。

具体的には面が変化するところ。
今作で言えば、太ももに当たる部分の光と影の境目や、両足の間にあたる部分に補助線があってもいいかもしれません。

ウロコは4つ1セットで見ていく

魚のウロコは基本的に1段前のウロコと半分ずれるように重なります。描き始めは良いのですが、数が増えてきたり、最終調整でサイズを変える必要がでてきたりするとやはり混乱しやすくなります。

このときは4枚を1セットとして確認すると混乱が少なくなるようです。


4枚を1セットとして眺めると、ウロコの集まりは基本的にひし形になります

この確認方法をすると、関節部などウロコの大きさを変える必要がある場合や、回り込みでウロコの角度を帰る場合、極端な変化は描けなくなります。

必然的に変化がなだらかなグラデーションになるので、仕上がりも良くなると感じました。

個人的にはこの4枚1セットで確認するというポイントが、今回の制作の大きな収穫になりました。

着彩について

しばらく前から着彩のベースをグラデーションマップでつくり、その上から固有色を乗せることを行っています。

色がくすみやすいという点が課題ですが、影の色味を統一できるのでまとまりのある画面を作るために研究しています。

今回は、肌のベースの色を乗算で乗せました。これだけでは影に入った印象になってしまうため、影の緑への変化はソフトライトで赤みのある肌色を入れています

肌の明るいから影への変化がきれいになった点も良かったのですが、濃い影と重ねると色収差の効果(光と影の境目の彩度が上がる)のような変化になるのが嬉しい発見でした

ここまでこの効果がほしいときは整えやすいとの点から手で描いていたのですが、やはり時間がかかっていました。レイヤー効果で作れるのであれば範囲も色の変化も描きやすいと思います。

このあたりの整理ができたら描き方としてまとめたいですね。

まとめ

今作を描く中で課題と感じたのはキャラクターの顔作り、特にメイクの知識です。

他の描き方でもそうですが、例えばまつげを描く描かないだけでも表情の印象が変わります。

もっとデフォルメされた描き方であれば、情報が整理されてわかりやすく、参考にできそうな資料を見かける機会もありました。

ただ、リアル寄りの顔の場合はわかりやすさという点で、こう描けばこういう効果がでそうというのが現状見ただけではわかりません。

このあたりは実際のメイクの知識になると思います。まずは何をしているのか?を理解するほうが良さそうです。

イラストに活かせる知識の整理ができたら、また記事にしていきたいと思います。

今回の制作での収穫

  1. ウロコの補助線は立体の面が変化するところに縦に入れる
  2. ウロコのバランスは4枚1セットで確認する
  3. 赤系の肌色を青系の影に乗せると彩度が上って色収差っぽくなる

この断片があなたの星へ続く道を、少しでも照らすことを願って


<参考>

投稿者: 0.1

厚塗りで「存在感や重さ、質感による説得力」のあるイラストを目指しています。 日本では線画をベースとしたイラストが主流ですが、そこから外れたモノもイラストの世界を広げる為に必要だと考えています。「世界観にもう一味試したい」そんなときには、ぜひお声がけください。

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